小野共同代表の緊急提言「政府は全国民に一人当たり20万円を配布せよ」

新型コロナウイルスや米中貿易摩擦、日韓経済摩擦、消費増税などが重なり日本経済は急激に落ち込む可能性がでてきている。

 

緊急対策として全国民に一人当たり20万円を配布する案を提案したい。香港でも国民一人当たり14万円の配布を行っている。

 

2009年管義偉、安倍晋三など20名超の有志議員が「政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟」を発足させた。管義偉氏が2009年2月1日フジテレビの報道2001で政府紙幣を発行し国民一人当たり20万円を配る案を紹介した。

 

当時、この案は実現することはなかったのだが、今こそこれを実行すべき時が来たと思う。

 

政府紙幣及び無利子国債の発行でもよい。しかし長期国債を約26兆円発行しても十分であり、日銀が直ぐに買ってくれることを知っているから、金融機関も喜んで引き受けるし金利上昇はあり得ない。だから政府紙幣や無利子国債を発行するのと事実上同じであり将来世代へのツケにはならない。

 

 この案は実行されることはなかったのは恐らく誰かが反対したのだろう。「そんなことすればハイパーインフレになるぞ」「円の信認が失われ国債が暴落するぞ」などと言って脅す人達がいたのだろう。

 

果たして本当にそうなのだろうか。

 

これが今行われたとしたらどのような経済効果があるかを日経新聞社のNEEDS日本経済モデルMACROQ79を使って計算した結果を以下に示す。現金配布は2019年末から継続的に行われたとし年間の合計配布額が20兆円だとする。配布された場合とされなかった場合を以下で比較する。

 

この結果を見れば分かるのだが、日本国民のほぼ全ての人にこの政策は利益になる。20万円を受け取れるだけでなく、消費が伸びるために企業の業績が向上し利益が増え、その結果賃金も上昇する。

 

その反面インフレ率の上昇は僅かであり、ハイパーインフレどころか2%のインフレ目標にすら届かない。

 

輸入が増えるということはアメリカのみならず全世界の貿易相手国の利益にもなる。今まで日本は自動車やカメラなどを作って輸出するが、外国からは十分輸入しなかったために貿易黒字が蓄積し国際的菜批判を浴びた。特に米国からは内需拡大を強く求められていた。内需拡大に失敗したのは増税・歳出削減で国民に十分なお金を渡さなかったためだ。

 

この政策は国民にお金を渡すものであり、世界の経済の発展にも貢献するものだ。

 

しかも経常黒字は続いておりこの程度の輸入増加は大変望ましいことだ。円の暴落も国債の暴落もなく経済は健全な成長軌道に乗る。  

 

まず一度20万円を配布し、経済への影響を確認して、次回の配布に向けて準備をするべきだ。コロナウイルスや米中貿易摩擦、日韓経済摩擦、消費増税などによるショックを吸収するのには確実に役立つと思われる。

 

また世界的にみて極端に低い経済成長率の日本経済を少しでも押し上げることができるのは朗報となる。  

 

日本経済の停滞は消費が伸びないことから引き起こされている。その結果諸外国と比較して第三次産業の停滞を引き起こしている。現金配布により実質民間最終消費は15兆円押し上げられ、第三次産業の発展に貢献しバランスの取れた経済発展に向けての力強い一歩となる。  

 

20万円配布は全ての国民に対してであって、現在の所得など全く関係なく、いわゆるベーシックインカムという考えに沿っていて、その貴重な実施例として世界的に注目される政策となる。

 

AI/ロボットが雇用を奪うのではないかという不安を持つ国民は多い。それに対し、国が職業・年齢・性別・収入など一切関係なく同一に現金を配布してみせれば、国民の将来への不安の解消に向けて僅かでも確かな光明が見えてくる。  

 

一般的な景気対策は準備に時間が掛かる。しかし今は緊急の対策が必要な時である。連日報道されているコロナウイルスの猛威で国民は不安を感じている。世界経済を牽引してきた中国経済の落ち込みによる影響は計り知れない。リーマン・ショックの際、日本政府は適切な対応が遅れ大きな経済的打撃を被った。一方で中国は大規模な経済対策で乗り切ったのだが、後になって過剰設備で苦しむことにもなった。

 

しかし、現金配布は即効性があるだけでなく、過剰設備を抱えることとはならず、日本経済のバランスの取れた発展に貢献できるのである。是非、ご検討頂きたい。